市民講座  もっと知ろう! 北海道のアズマヒキガエル ~科学で明らかにするその影響~


日時: 2020年 2月29日(土) 14:00 – 16:00新型コロナウイルスのため無期限延期
会場: サケのふるさと千歳水族館
申し込み: 不要
聴講料: 講座は無料です。ただし、サケのふるさと千歳水族館の入館料はかかります。

共催: サケのふるさと千歳水族館
後援: 三井物産環境基金・旭硝子財団研究助成

問い合わせ: 北海道大学 苫小牧研究林 岸田治 or 高井孝太郎
TEL:0144-33-2171
Email: fsc.ecology@gmail.com

講座の内容

アズマヒキガエルは本州から北海道へと持ち込まれた国内外来種です。
最近の報道では「毒ガエル」としてその脅威が騒がれていますが、実際に彼らが北海道の在来種に対してどのような影響を与えているかをご存知でしょうか?
この公開講座では、アズマヒキガエルが在来種に与える影響と、本種の分布を把握するための最新の技術に関する最新の科学的知見をわかりやすく紹介します。

1.北海道のカエル事情と国内外来種

高井 孝太郎(北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・学術研究員)

北海道にはカエルが何種いるのかご存知ですか? そのうちどれが元からいた種(在来種)で、どれが人間の手によって持ち込まれた種(外来種)か知っていますか。この講演では、本シンポジウムの導入として、北海道の在来ガエルと外来ガエルについて紹介します。

2.アズマヒキガエルの脅威を探る ~ 在来両生類に対する毒性効果 ~

岸田 治(北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・准教授)

外来種の影響と聞くと、元からいた生きもの(在来種)を外来種が片っ端から食べてしまったり、雑種を作って遺伝的な影響を及ぼしたりといったことを連想するでしょうか?
道内において、アズマヒキガエルは、まったく違った影響を在来種に対して与えます。本講演では、数年間にわたる実験と調査の結果からわかってきた本種の影響の実態を紹介します。

3.最新技術で明らかにするアズマヒキガエルの分布

水本寛基(北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・学術研究員)

アズマヒキガエルの影響がどのような場所で起こるのか?それを予測するには本種がどこに分布しているのかを把握する必要があります。生物の存在を確認するために、今も昔も生態学者は野山を駆け回ります。ところが、最近はペットボトル1本分の水からその存在を推定する「環境DNA技術」というものに注目が集まっています。これまで生態学者には専門知識や強靭な肉体が求められてきましたが、環境DNA技術を使うことで老若男女だれでも調査ができてしまいます。ここではそんな環境DNA技術という新しい手法を用いたアズマヒキガエルの分布推定についてお話しします。

 国内外来種って、ナニ?

「日本の生きもの」としてよく知られる種が、外来種として北海道にいることを知っていますか。本シンポジウムが取り上げるヒキガエルだけでなく、トノサマガエルやカブトムシといったとても身近な種も「北海道」では外来種なのです。外来種という言葉は皆さん既にご存知と思いますが、皆さんのイメージする外来種とは、ヒアリ、カミツキガメ、アメリカザリガニなど、海外から来た種だと思います。 外来種の本来の定義は(少々省略しますが)「過去あるいは現在の自然分布域外に導入された種」であって、「海外から導入された種」というわけではありません。先に挙げたアズマヒキガエルやトノサマガエル、カブトムシは「本州が現在の自然分布域」であって、「北海道は現在の自然分布域外」です。このように、国内のどこかを自然分布域とする種が、国内の別の地域に人為的に導入された種のことを特に「国内外来種」とよんでいます。

 北海道の国内外来種アズマヒキガエル

アズマヒキガエルの自然分布域は、東北から中部地方にかけての本州の東側のエリアにあたります。本種は、標高 0 mの海岸近くから 2500 m の高山まで様々な場所で暮らしています。北海道には、約100年前から最近まで何度かにわたって移入されたと考えられています。現在は道央の石狩川水系を中心にその分布を広げているとされます。

シンポジウムのイラストは小樽在住の画家・鈴木比奈子さんに作成していただきました。鈴木さんは以前、ゴマシジミという変わった生態をもつチョウを紹介した冊子「そら君が出会った不思議な青いチョウ~アリとワレモコウとのトライアングル~」にイラストレーターとして参加されていました。同冊子の作成時と同様に今回も、鈴木さんは研究者のマニアックな要望に応え、素晴らしいイラストを仕上げてくださいました。