山口彩さん(H27年度修士卒)の論文が Ecology 誌 に受理されました。個体の接触の意味についての研究です。オリジナリティは高いです。

山口さんの論文が Ecology誌 に受理されました(論文はこちら)。

大胆に動き回る動物個体は他個体に接触することがあります。接触を受けた個体もまた動いてしまうのですが、本研究ではそのような個体間接触の帰結を調べました。

エゾアカガエルのオタマジャクシは捕食者がいる環境では、活動量を減らします(それによって捕食者との遭遇機会が減り、生存率が高まります)。捕食されやすい小さなオタマはこのような行動的な防御をとりやすいのですが、大きなオタマジャクシの場合は、そもそも危険が少ないので活発に泳ぎ回ります。大きなオタマジャクシが泳ぎ回れば小さなオタマジャクシに接触することになるのですが、そうすると接触された小さなオタマジャクシも活発に動くようになります。その結果、小さなオタマジャクシは捕食者に遭遇する機会が増え、食われてしまう可能性もまた高まってしまうのです。本研究では、一連のストーリーについて、野外調査と野外実験さらには室内実験を繰り返すことで検証することに成功しました。

この論文は、2015年の秋に修士課程を卒業し、現在は会社員をしている山口彩さんの修士論文の後半部分に相当します。前半部分はOikos誌に掲載されています。どちらの論文も1つめの投稿先で受理されました。書き始めから受理まで山口さんがほとんど頑張ったので、指導教員の岸田はあまり苦労しませんでした。とんでもなく優秀な学生に恵まれたものです。