Topic 4. 国内外来種アズマヒキガエルの影響を探る

本州からの侵略者アズマヒキガエル

人々や物資の移動は, 異なる国と国の間よりも同じ国の中で盛んです.このことは, 人間活動に付随した生物の移動(外来種の発生)も国間より国内で起こりやすいことを意味します. 外来種として本来生息しない生き物であっても, 人々が馴染み深い国内外来種は,他国からきた国外外来種に比べて,野外放逐への心理的な抵抗も小さいと考えられます.これらのことから, 国内外来種は移入リスクが高いと予想されますが, そのインパクトはほとんどのケースで調べられていません.

当研究室では, 本州から北海道へと移入され分布を拡大しているアズマヒキガエルが在来種に対してどのような影響を及ぼしているのかを調べています.大学院生や研究員が野外調査と実験を精力的に行い, アズマヒキガエルが在来種に与える驚くべき影響の実態が明らかになりつつあります.

在来両生類の幼生に対するアズマヒキガエル孵化幼生の毒性効果

旭川市近郊にアズマヒキガエルが放逐されたのは約40年前と言われています.今や市街地近くの草地から山林まであちこちでアズマヒキガエルをみることができます. 私たちは,在来種のエゾアカガエルのオタマジャクシとエゾサンショウウオの幼生が,アズマヒキガエルの孵化直後の胚や幼生を食べると死んでしまうことを発見しました.

(左:ヒキガエルの孵化胚を食べて死んだエゾアカガエルのオタマジャクシ(左)とエゾサンショウウオ(右)